暗い冷たい悲しい幸せ

シアワセ(会社員)の日記

トムジョーンズ(著)岸本佐知子(訳)「拳闘士の休息」 を読んだ

 

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

 

 舞城王太郎という僕の好きな作家がいて、来る8月13日、その舞城が翻訳した「コールドスナップ」という単行本が発売される。その著者であるトムジョーンズの著作を読んでみようと思い、アマゾンで目についた「拳闘士の休息」を買ったのだ。

 

で、舞城がトムジョーンズにとても影響を受けていたことが分かった。

僕が初めて読んだ舞城作品は「煙か土か食い物」というミステリで、それがたまらなく面白くて数時間ぶっ続けで読んで他の作品も買って読んだら面白くてファンになったのだが、この本に収録されている「蚊」という短編に出てくる人物やその描写には「煙か土か食い物」の元になった部分が多々見受けられる。

「蚊」はこんな話だ。

主人公が次男で職業が医者で格闘技をやってて粗暴な性格で義姉(兄嫁)とファックする。

これは…「煙か土か食い物」の主人公:ナツカワシローまんま(四男だけど…)じゃないか!!!

そして「拳闘士の休息」の短編全体の登場人物は絶望的な状況の中で生への執着を持ち、死の淵で何かの啓示を得たりするのだが、それって…

煙か土か食い物の」の犯行手口じゃん!!!!

僕は元ネタは映画「SAW」なのかな?と思ってたけどこっちから着想を得たのだろう。それとも別なもの?ありふれてる感じ?

とにかく、僕が言いたいのはこういう類似点があるから舞城はパクリ作家だということではない。

どちらも掛け値なしで最高に面白い作品を作り出してくれて、僕はそれを読むことができて、知ることができて、とても嬉しくて楽して幸せだ。ということを言いたいのだ。

僕は自分の生が値打ちのないことを感じている。そういう事実と向き合おうとしている。家に閉じこもって自分の心にも壁を作って、身体的・心理的な成長も変化もないぬるま湯に浸かったような毎日を過ごしている。そういう生活の中で心を揺さぶる本に出合えるというのは本当に幸せなことなのだ。生きる意味や目的を考えさせてくれる素晴らしい機会になる。

天啓、というとなんか胡散臭いけど、ちょっとそういうものに期待もしてしまう。夢があるじゃん。麻雀で天和みたいな…。

「コールドスナップ」はどんな訳がされているのだろうか、2004年に雑誌ファウストに載ったものらしいが、とても楽しみにしている。

 

コールド・スナップ

コールド・スナップ

 

 

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)